本日の戦利品

『ADVANCE OF Z ―ティターンズの旗のもとに―(1)〜(3)』みずきたつ(電撃コミックス) 原作の電撃ホビー誌連載中のフォトストーリーの方は、ちょうど“ガンダム”に食傷して離れていた時期だったので、ほぼ無視していた。そうこうしているうちに完結してしまっ…

『蒙古の襲来』海音寺潮五郎(河出文庫) 昨年あたりから新装版による文庫の復刻が続いており、実に喜ばしい。 海音寺潮五郎の史伝は、良質である。というのも、本文中にて出典が明記されているので、後に自分で掘り下げて調べる上で参考になる。 本書は、い…

『死刑――人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う』森達也(朝日出版) 来年2009年5月までに、裁判員制度が開始される予定である。 わずか一年数ヶ月後には、地方裁判所で行なわれる刑事裁判のうち、殺人罪、傷害致死罪、強盗致死傷罪、現住建造物等…

『百鬼解読』多田克己/京極夏彦(講談社文庫) 妖怪の解説本。 本書では、鳥山石燕の「画図百鬼夜行」などの妖怪図に描かれたものを中心に、その由来から正体までを詳細に解説している。 石燕の描いた妖怪図には、その博識強覧と諧謔が如何なく発揮され、中…

『総解説ガンダム事典――ガンダムワールドU.C.編』皆川ゆか(講談社) まるで学校の歴史の教科書を見ているようだ。 本書が発行された2007年11月現在の「U.C.」世界を知るうえで、まさしく教科書となる代物だろう。 ここ数年のガンダムブームによって、様々な…

『テロルの決算』沢木耕太郎(文春文庫) 主義や理念などの理想に、純粋であり続けることは、美しい。 だが、一方でそれはあまりにも不自然な、人間的ではない歪さを内包している。 なぜなら、人間は本質的に社会的な生物だからだ。 社会――すなわち他者との…

『もうひとつの未来〜starry spirits〜』森口博子 今日、ゲーム屋の店頭を通りすぎる際に、久々に森口博子の歌声を聴いた。 PS2用ソフト『SDガンダム G-GENERATION SPIRITS』のデモが放映されており、その主題歌として流れていたのだ。 デモを観る分には、か…

『深夜特急(6)南ヨーロッパ・ロンドン』沢木耕太郎(新潮文庫) 青年沢木耕太郎の長かった放浪の旅が、終わる。 かつて学生の頃、友人から借りて本書を読んだことがある。暇さえあれば、ふらりと旅というにはおこがましい遠足の真似事を行なっていた頃だ。 …

『恋空―切ナイ恋物語』美嘉(スターツ出版) ケータイ小説として人気を博し、それを書籍化したという小説。 中高生を中心とした若者に支持を集めているとのことだが、なるほどそんな気がする。 いかにも携帯電話メールのような、記号を多用した独特の口語表…

『人の砂漠』沢木耕太郎(新潮社文庫) 八編からなるルポルタージュ。 その取材対象は様々だ。孤独死した老婆。元売春婦の養護施設。南海の孤島の人々。北海の国境際の漁港。屑の仕切り場。相場師。“不敬罪”の罪人。老詐欺師。などなど。 いずれも社会の主流…

『ローマ人の物語31 終わりの始まり(下)』塩野七生(新潮文庫) 五賢帝最後のマルクス・アウレリウス帝の後嗣コモドゥス帝が暗殺者の手によって斃れた後、ローマ担当長官ペルティナクスが近衛軍団長官レトーによって擁立され、帝位に上る。 実務経験豊富な…

『象の背中』秋元康(扶桑社文庫) 産経新聞で連載されていた小説を加筆修正した文庫本。 48歳のサラリーマン藤山幸弘が、末期ガンを宣告されたところから物語は始まる。 ガンはすでにステージ4に進行しており、余命は約半年。延命治療かホスピスの二択を迫…

『機動戦士ガンダムUC(1)(2)』福井晴敏(角川コミック・エース) 「ガンダムエース」誌で連載中の小説の文庫化。 ようやく最初から読めた。ここ最近、「ガンダム」の氾濫ぶりには根っからのガンタクにも関わらず少し引いていたが、これは実に面白い。 本作は…

『HOMEWORLD 2』(Sierra Entertainment) Windows用の宇宙を舞台としたSF系戦略級SGの洋ゲー。 しばらく前にネットで話題になっていたのだが、遂に手を出してしまった。 というのも、このゲームに「MOD」を追加することによって、ガンダムの戦略級SGとして…

『犯人に告ぐ(上)(下)』雫井脩介(双葉文庫) 一気呵成に読んだ。時間を忘れ、引き込まれるほどに、実に面白かった。 かつて神奈川県警にあってノンキャリアとしては順風なコースを歩んでいた叩き上げの刑事、巻島文彦。だが、その運命はある事件によっ…

『私の骨』高橋克彦(角川文庫) 両親の死後、売り払われ解体された実家の床下から掘り出された古い壷には、なぜか“私”の生年月日が刻まれていた。その壷の中に納められていたのは、幼児の人骨。 “私”と検証を行なう刑事とのやりとりの中から、古い伝承と因…

『MCROSS PLUS The Cream P.U.F』SHARON APPLE(ビクターエンターテイメント) 唐突に、だが猛烈に「Infomation High」が聞きたくなって取り寄せた。 聞いてみれば、無性に劇場版『MACROSS PLUS』が観たくなる罠。

『脳死臓器移植は正しいか』池田清彦(角川ソフィア文庫) 97年に国内初の脳死臓器移植が行なわれた際、その報道を聞きながら胸の内に湧き上がった違和感があった。 すなわち、永く人の死の基準であった心肺停止による心臓死ではなく、“脳死”という新しい死…

『聖戦のイベリア』SoundHorizon(KING RECORDS) 久々の新マキシシングル。 “聖戦”というキーワードもあり、全般的に「クロセカ」のような雰囲気が強い。 音楽というよりも、むしろ歌劇と呼ぶにふさわしい幻想物語。 毎度ながら、サンホラの曲は聴くにつれ…

『家族ペット――ダンナよりもペットが大切!?』山田昌弘(文春文庫) まず最初に明言しておくが、私は犬が好きだ。 かつて実家にいた頃、二回ほど犬を飼っていた。最初は柴犬、次はコリーだった。いずれも、私が餌やりと散歩を担当し、主に世話していた。二…

『裁判官の爆笑お言葉集』長嶺超輝(幻冬舎新書) 私の基本思想は、法家に近い。人間の本質は禽獣に近く、理知は容易く欲望に負ける。それゆえに、国家は厳正な法によって運営され、国民は法に基づく教育を受けて、禽獣から人間となるよう矯正されるべきであ…

『剣闘士スパルタクス』佐藤賢一(中公文庫) 共和制ローマ末期を揺るがした奴隷蜂起事件“スパルタクスの乱”の中心人物、元剣闘士スパルタクスの半生を活写した小説。 主人公スパルタクスの視点から乱の蜂起から壊滅に至るまで、史実を踏まえて丹念に描かれ…

『Ys ORIGIN ORIGINAL SOUND TRACK』(日本ファルコム) 第三シナリオをプレイしていたとき、最後に立ちふさがる“あの存在”を前にしたときの「THE LAST MOMENT OF THE DARK」から最終戦「TERMINATION」に切り替わった瞬間、背筋を奔ったあの戦慄を憶えている…

『少子社会日本――もうひとつの格差のゆくえ』山田昌弘(岩波新書) 劇的な少子化が進む現代日本。そこに至った経緯を豊富な統計データを元に読み解き、対策を提言した論考。 少子化に至った経緯を手繰っていくと、若者の晩婚化、非婚化がその根底にあること…

『感染症――広がり方と防ぎ方』井上栄(中公新書) 03年、東アジア諸国を席巻した新型インフルエンザSARS。不思議なことに、それらの国に渡航した日本人の感染者はゼロだった。 本書では、その理由を日本人の清潔好きな生活スタイルにあると推測している。 確…

『戦争概論』アントワーヌ・アンリ・ジョミニ著/佐藤徳太郎訳(中公文庫) “戦争論”といえばクラウゼヴィッツがあまりにも有名だが、本書を記したジョミニもなかなかどうして鋭い着眼点で戦争を論じている。 本書においては、「およそ兵学には、もしこれを無…

『ひとは情熱がなければ生きていけない――勇気凛凛ルリの色』浅田次郎(講談社文庫) 人間を万物の霊長たらしめているのは、言葉を保有しているからである。 ある人間の人となりを知るには、その発する言葉を聞け/記す文章を読めば良い。 言葉には、その者の…

『ガンダムNOVELS――閃光となった戦士たち』鷹見一幸、林譲二、庄司卓、神坂一、後池田真也、岩佐まもる、宮本一毅(角川書店) ライトノベル作家たちの手によるガンダム小説の短編集。 「ジャブローの大地に」のみが書き下ろしで、他の六本は「ガンダムエー…

『負け犬の遠吠え』酒井順子(講談社文庫) 先日読んだ『枕草子REMIX』の著者の代表作。だいぶ前にずいぶんと話題に上った本であるが、著者に興味をもったので、今更のように手に取った。 いや、これは確かに話題にもなるわ。 本書では、どんなに美人で仕事…

『枕草子REMIX』酒井順子(新潮文庫) 中古文学の代表作のひとつ『枕草子』を、現代風にアレンジした解釈によって紹介した入門書。 本書の原典である『枕草子』は、大学時代、これをテキストに人文学のやり方の基礎(裏の取り方)を教わったこともあり、個人…