『総解説ガンダム事典――ガンダムワールドU.C.編』皆川ゆか講談社
まるで学校の歴史の教科書を見ているようだ。
本書が発行された2007年11月現在の「U.C.」世界を知るうえで、まさしく教科書となる代物だろう。
ここ数年のガンダムブームによって、様々なジャンルの派生作品が生み出され、その度に設定が増えている。
版元のサンライズでは、映像作品として公開されたものが、いわゆる“正史”とするスタンスを取っているが、その映像作品それぞれを突き合わせても矛盾が生じるのが、「ガンダム」の業の深いところである。様々な関連書籍や模型の説明書、ゲームなどの派生作品の情報を加えると、さらにその齟齬は大きくなる。
そこで、本書では史学的な手法をもって、その整合性を合わせようと試みている。
信頼性の高い史料を映像に置き換えて、それ以外は異説として併記するという手法である。
実際の歴史も同じようなもので、信頼性の高い史料の記述を繋ぎ合わせたものに過ぎず。新たな史料や史跡が発見なり発掘されれば、覆されて更新されることもある。
おそらく今後も「U.C.」世界は、新たな史料の“発見”によって書き換えられていくことになるだろう。