2007-01-01から1年間の記事一覧

『ひとは情熱がなければ生きていけない――勇気凛凛ルリの色』浅田次郎(講談社文庫) 人間を万物の霊長たらしめているのは、言葉を保有しているからである。 ある人間の人となりを知るには、その発する言葉を聞け/記す文章を読めば良い。 言葉には、その者の…

『ガンダムNOVELS――閃光となった戦士たち』鷹見一幸、林譲二、庄司卓、神坂一、後池田真也、岩佐まもる、宮本一毅(角川書店) ライトノベル作家たちの手によるガンダム小説の短編集。 「ジャブローの大地に」のみが書き下ろしで、他の六本は「ガンダムエー…

『負け犬の遠吠え』酒井順子(講談社文庫) 先日読んだ『枕草子REMIX』の著者の代表作。だいぶ前にずいぶんと話題に上った本であるが、著者に興味をもったので、今更のように手に取った。 いや、これは確かに話題にもなるわ。 本書では、どんなに美人で仕事…

『枕草子REMIX』酒井順子(新潮文庫) 中古文学の代表作のひとつ『枕草子』を、現代風にアレンジした解釈によって紹介した入門書。 本書の原典である『枕草子』は、大学時代、これをテキストに人文学のやり方の基礎(裏の取り方)を教わったこともあり、個人…

『Fate/Zero Vol.1、2』虚淵玄(TYPE-MOON BOOKS) 今更のように入手し、二巻まで読了。『Fate/stay night』を遡ること十年前の第四次聖杯戦争を巡る物語。 衛宮切嗣が内に存在矛盾を抱えつつ、全てを喪いつつも希求する聖杯に至り、それを否定する物語が始…

『Burn My Dread―Reincarnation:PERSONA3―』(Aniplex Inc.) 「ペルソナ3」のアレンジ・サウンドトラック。 新規に起こされたオープニング曲「Burn My Dread」のフルバージョンも収録されている。 だが、個人的なクリティカルは「Burn My Dread-Last Battl…

『「準」ひきこ森―人はなぜ孤立してしまうのか?』樋口康彦(講談社+α新書) 大学には真面目に通い、学業成績にも問題が無い。しかし、学校と家を往復しているだけで、家族以外の他者との交流を持たない/持てない、社会性、社交性に乏しい人物像。本書では、…

『希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』山田昌弘(ちくま文庫) 先日に読んだ『下流志向』の原本のひとつ。その縁で手に取った。 様々な統計データを元に、世に言う格差社会がどこまで進行しているのかを克明に記した論考。 現代日本は、職業…

『下流志向――学ばない子どもたち、働かない若者たち』内田樹(講談社) 昨今の格差問題の原因を、独自の視点から読み解いた論考。 本論において、著者は「自らの選択によって学習を拒み、望んで階層下降していく若者」像を取り上げ、それが格差発生の原因で…

『GUNSLINGER GIRL(8)』相田裕(電撃コミックス) 二期型の義体ペトルーシュカと担当官アレッサンドロを中心にしたエピソードが続く。 本巻では「LADY ROSSO」――赤い髪の女をサンドロが避けていた理由が語られる。 サンドロを諜報の世界にスカウトした赤い髪…

『すばらしき愚民社会』小谷野敦(新潮文庫) 大衆を“愚民”と指弾する評論。 しかし、本文においてその批判の矛先はもっぱら、各メディアに盛んに登場する“有識者”たちに向いている。 独断と偏見に凝り固まった“エセ”知識人たちを痛烈に批判し、大衆におもね…

『エマ(8)』森薫(ビームコミックス) 本編に登場した脇役にスポットを当てた短編集。 ダグとか、アーネストとか、ベア氏とか、とにかく格好良すぎ。 個人的なヒットは第五話「The Times」。 この手のチェーンスモーキング方式群像劇は、好きなのである。 次…

横浜中華街に行ってきた。 午前中の東京は、酷い雨だったが、午後過ぎに現地に着くと、雨足も弱まっていた。 さっそく最寄の中華料理屋の門を潜り、久しぶりの中華料理コースを満喫する。 食後、腹ごなしを兼ねて街をぶらつく。 ついでに媽祖廟と関帝廟を詣…

『フルメタル・パニック! つどうメイク・マイ・デイ』賀東招二(富士見ファンタジア文庫) 久しぶりにライトノベルを購入。「でたまか」が完結して以来、購読しているのはこのシリーズだけになってしまった。ラノベも読まなくなったものである。 前巻では当…

今日で31歳になった。 昨年すでに齢三十を重ねてはいたが、特に何が変わることも無く、ただ日々に追われて一年を過ごしてしまった。 しかし、今年は公私ともに「三十ニシテ立ツ」ことを求められることになるだろう。実際にいま、仕事においても、生活におい…

『秒速5センチメートル』 新海誠監督の劇場用アニメーション3作目。 3本の短編からなる連続作品。 相変わらず空が高い。また、日常の情景描写が秀逸だ。 印象深く美しい想い出は、麻薬に似る。 それに捉まると惑溺して、逃れることが困難になる。 本作の主人…

「押し」と「引き」の話。 元々は演劇用語であるが、TRPGにおけるセッション進行技術としても良く使われる用語であろう。 「押し」とは、PCたちを用意した状況に“誘導する”ことを、「引き」とは、PCたちを用意した状況に“誘導されるようにする”ことを指す。…

『機動戦士ガンダム0083 オリジナルサウンドトラックBOX』(ビクターエンターテイメント) ここ最近、ガンセネ(『GUNDAM SENTINEL RPG』の略称)用のシナリオを考えているうちに、何故か脳裏で「ASSAULT WAVE」がエンドレスで流れるようになってしまった。 …

『武士の一分』 藤沢周平の著作『隠し剣秋風抄』収録「盲目剣谺返し」を原作とした映画。遅ればせながら観てきた。 背景として描かれる、四季の移ろいが美しい。やはり邦画は、良い。 終盤、風吹き荒ぶ河原での果し合いの顛末については、映画の主題に合わせ…

『アリアンロッドRPG アイテムガイド』菊池たけし/F.E.A.R.(富士見書房) ここ数回、ウチのセッションにおいて『アリアンロッド』を使っている。 ダンジョンアタック系の軽いシステムだが、アイテム点数が少なくもったいないと思っていたら、こんなサプリメ…

『悪魔に魅せられし者』鈴木直人(創土社) 復刻版を入手。 さて、また天を衝くこの魔塔の麓へと戻ってきた。はてさて、幾度目の冒険になるだろうか。 身には板金鎧、頭を覆う兜、両手には小手。いずれも黄金色に磨きぬかれた逸品をまとい、腰には使い慣れた…

『彼女はたぶん魔法を使う』樋口有介(創元推理文庫) すごい久しぶりに手に取ったミステリ物である。 小説を選ぶ際に、興味をもったタイトルは、軽く十数頁ていど本文を読み飛ばす。序盤を軽く読めば、主人公に感情移入できるかどうかが判る。感情移入でき…

『悪人列伝 近世篇』海音寺潮五郎(文春文庫) 人はともあれ、われのみは栄えむ 『応仁記』と『応仁後記』に書き遺された当時の人々の気風であるという。どこかで聞いたような文句である。 筆者はこの時代、室町時代前後を「日本史空前の無道徳時代」と評し…

『朝鮮半島「核」外交 北朝鮮の戦術と経済力』重村智計(講談社現代新書) 本書冒頭にて、歴史家アーノルド・トインビーの説いた一文を引用している。すなわち、多くの国際紛争は古代ギリシャの都市国家、アテネとスパルタが相争ったペロポネソス戦争と同じ…

『GUNDAM MS GRAPHICA』(SoftBank Creative) RX-178、MSN-00100、MSZ-006の3機を取り上げた3冊からなる、高精密印刷を使用した高画質CG集。 内容としては、CGがメインでそれに伴ったテキストが随所に挟まれた感じである。テキストについては、正直な話どう…

『イースオリジン』 ずいぶんと掛かったが、「ユニカ」編、「ユーゴ」編、「鉤爪の男」編と、すべてのルートでの攻略が完了した。 実に面白かった。 シナリオ中の随所に、旧作であるI、IIの各種ガジェットが上手く使われていて、懐かしい感慨に浸りながらプ…

『ウォーハンマーRPG 基本ルールブック』待兼音二郎訳(HOBBY JAPAN) 昨年末に発売されたことは知っていたが、ちと二の足を踏んでいた。というのも、このシステムを実際に使うであろうことが、たぶん無いであろうことが予測されているからなのだが……。本日…