秒速5センチメートル
新海誠監督の劇場用アニメーション3作目。
3本の短編からなる連続作品。
相変わらず空が高い。また、日常の情景描写が秀逸だ。


印象深く美しい想い出は、麻薬に似る。
それに捉まると惑溺して、逃れることが困難になる。
本作の主人公、遠野貴樹もまた、過去の想い出に日常を侵蝕されている。
第二話「コスモナウト」にて、彼に思いを寄せる少女、澄田花苗はそれに気付き、想いを告白することを思い止まる。
一方で、第三話にして表題作「秒速5センチメートル」では、想い出を共有する篠原明里は、別の人生をしっかりと歩んでいることが明かされる。
舞い散る桜の下で、貴樹と明里はすれ違う。
振り返らなかった明里は、きっと幸せになれる。