希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』山田昌弘ちくま文庫
先日に読んだ『下流志向』の原本のひとつ。その縁で手に取った。
様々な統計データを元に、世に言う格差社会がどこまで進行しているのかを克明に記した論考。
現代日本は、職業、家庭、教育、その全てが不安定化し、リスクを伴う社会になっている。その中で、将来に希望がもてる人と、もてない人の分裂が発生しているという。本書ではそれを「希望格差社会」と呼んでいる。
かなり深刻な内容だが、日常生活の中で見聞きする事象と合致することもあり、頷ける点も多い。
階層を上げるために努力しても、報われるとは限らない、だが努力をしなければ、階層はさらに下降する。なんとも無残だが、それが現実である。
結局のところ、人間は平等ではない。出自、才幹、能力、運などなど、人格の構成要素ことごとくに差異がある。差異がある以上は、格差がつくのは必然だろう。それを踏まえて、希望を持てるか否かも、結局はその人間の資質なのだ。
絶望に呑まれ人生を諦めるか。希望を見出して人生を闘い抜くか。その人の選択と決断しだいであろう。それが現代日本の冷厳な現実だ。