『鬼』高橋克彦(ハルキ・ホラー文庫)
平安初期〜中期に掛けて、五人の陰陽師とそれぞれが対峙することとなる鬼の話。連作短編を五本収録。
それぞれなかなかに味のある作品ばかりである。特に賀茂忠行が非常に格好良い。
超常の存在である“鬼”よりも、ひとの心の奥に沈殿する闇の方がよほど怖い。けだし名言。
長く社会生活を送っている人間ならば、そう戦慄したことのひとつやふたつは誰でもあるのではなかろうか。
いつの時代でも、やはり人間が一番怖い。