『日本の歴史9 南北朝の動乱』佐藤進一(中公文庫)
建武の新政は、開始後2年とも持たずに綻びを生み、やがて自壊へと進んでゆく。武家の棟梁として推戴された足利高氏中先代の乱を期に関東で独立を図る。こうして、天皇専制武家政治は完全に別れ、大覚寺統持明院統の皇室の頭領争いをも巻き込んで、南北二朝並立という前代未聞の混沌とした乱世へと突入する。
以後、合従連衡を繰り返しながらも南北二朝は並立し続け、足利将軍3代目、義満の手によって実質的に南朝が解体されるまで続くこととなる。
この朝廷にせよ幕府にせよ、絶対的な権威と政治を主催できる実力者の不在が、この時期の特色なのだろう。この統括力の無さは室町幕府の致命的な欠陥として継承され、後の応仁の乱、そして戦国時代への導火線となる。