東京都庭園美術館――世界を魅了したティファニー1837-2007
ひょんなことから足を運ぶこととなった。
東京都庭園美術館は、常設展示品となる所蔵品を持たない特殊な美術館である。
そもそもにおいて、建物自体が昭和初期に建築された元宮家の邸宅であり、都の有形文化財に指定されている代物であったりする。
今回の展示会は、アメリカのデザイナーブランド、ティファニーの装飾具コレクション展示である。
ティファニーは銀器、高級雑貨でも知られているが、装身具に焦点をあてた展示会としては、日本初の試みとのこと。
本展示品の目玉は、ポスターのモチーフにも使用された、約128カラットの通称“ティファニー・ダイヤモンド”と呼ばれるイエローダイヤモンドを使用したブローチ“バード・オン・ア・ロック”であろう。
このブローチは、映画『ティファニーで朝食を』のプロモーションの一環で、かの女優オードリー・ヘップバーンも着用したことがあるらしい。
100カラットを越えるだけあって、かなり大きい。たぶん、標準的な日本人が着けたら、あっさりと位負けするだろう。
ティファニーはパリ万博やシカゴ万博などでの展示出品で、様々な賞を受賞し、国際的な知名度を獲得し、今日の名声の基礎を築いたという。
19世紀末に流行した日本趣味が反映された宝飾品もあり、なかなかに面白い。
しかし、今回のティファニーに限らず欧米の宝飾品を眺めていると常々思うのだが、大きな貴石をふんだんに用いた宝飾品は、日本文化とは相性が悪いように感じる。日本文化というよりは、日本人にはあまり似合わないと思うのである。ほどほどのサイズの石を使ったソリティアなデザインの方が、品が良くて合うと思うのだ。
まあ、これはあくまでも個人的な感性の問題であって、御婦人方にとっては、やはり大粒の貴石を使ったそれの方が、魅力的に感じるのかもしれないが。