ゲド戦記
ジブリの新作。巷では非難囂々のようだが、自分の目で確かめないと気が済まないので観てきた。
ちゃんと傑作じゃん。
主人公アレン王子は、不安からの逃避、解決策が見出せない迷走、困難に当たっての挫折、自己を見つめ直し許容する再生、と劇中でひと通りを経験してちゃんと成長している。
世界は円環をなす調和の均衡によって成り立っており、人間も社会というそれぞれの関わりの中で、補い合って生きている。いや生きて、次代へと意思を継いでいかなくてはならない。背骨となるこのテーマは始終一貫して表現されていた。
ルグィンが原作で表現したかったことは、しっかりと継承されている。十分良く出来ているじゃないか。
ただし、書き込みが不足している部分もやはりある。アレンと父王との確執や、王剣の意義、ハイタカ(ゲド)とテナーの絆の理由などなど、原作を知らないと分かりづらい部分も多々あった。
しかし、どう考えても対象年齢は思春期の心の葛藤を経験しているハイティーン以上だろう。小学生くらいが見ても分かるとは思えない。また娯楽アニメとしての爽快感は無い。だが、十分子供に見せるべき作品だろう。良作だ。