『民族世界地図 最新版』浅井信雄新潮文庫
アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパ、ロシア、オセアニアアメリカなど主要地域50項に分けて、それぞれの地域で問題化している諸問題を紹介している。奥付を見ると04年5月に発行されているが、状況はさほど変わってはいない。むしろ、幾つかの地域ではより深刻度を増している。
顕在化しているもの、水面下で沈殿しているもの、その内訳は様々だが、冷戦以後の世界は、民族、宗教、石油、この三つの問題を中心に紛争が絶えない。
悲しいかな、古来より人類は決して神に愛されていない。もし神に愛されていたのであれば、人類は神に準じる英知を授かっていたであろう。だから、不完全な人類は、権益を競い合い、争い続ける。
限られたパイを奪い合うために、今日もどこかで紛争が続く。
これまで紛争とは無縁であった日本も、諸問題は山積みで、遠くない未来に移民の受け入れを検討しなければ、労働人口をまかないきれなくなる。民族問題から目を背けることはできなくなる日は、そう遠い話ではない。
面白いもので日本は、外部からの影響無しでは変容できない体質にあるらしい。遣唐使元寇南蛮貿易、黒船来航などなど。
果たして、今度はどうなることやら。