先日のセッション終了後に議題に上がった内容として、情報収集についての話があった。
要はいかにしてPCサイドにGMより情報が提示されるべきかといった内容だが、各メンバーそれぞれに豊富なGM経験があるだけに、独自の考え方に基づいた持論があり、聞いていて面白かった。
そこで、TRPGにおける情報収集について少し考えてみた。
つまるところ、情報収集とはTPO(Time、Place、Occasion)を踏まえた聞き込みな訳で、それをトークで処理すればプレイヤーの性能に因るが、判定で処理すればPCの性能(とダイス運)に因ることとなる。
前者の場合、PCの置かれた状況を踏まえた上で、その担当プレイヤーの知識と経験値に裏付けられた、いわゆる“腕”に依存した進め方となる。さらに、そのプレイヤーに応対するGMの“腕”によって、そのプレイヤーの進め方が受け容れられるか否かという問題も発生するために、こちらの方式は、不確か極まりない。しかし、トークによって交わされる情報を巡った駆け引きは、ライブで進行するTRPG独特の楽しみでもある。
対して後者の場合、多くのシステム(特にF.E.A.R.製)ではコネやツテなどの情報筋を技能化してサポートしているために、〜について調べる、と行動宣言すれば、後は判定の成功度具合に応じて労せずに情報が入る寸法となっている。実にゲーム的である。
もっとも、初期のシステムにおいては、情報収集の手段は前者のトークによる方式しかなく、そのために後発のシステムによって後者の判定による仕組みが考え出されたのだろう。
セッション進行を円滑に進めたいのであれば、迷わずに後者の考え方――プレイヤーの腕に依存しない、いわゆるゲーム的に情報が入手できる方式でシナリオを組んだほうが良い。情報収集の過程をトークで表現できるGM、プレイヤーならば、判定の結果を踏まえてそれをやれば良いのだ。やはりゲームである以上、システム上の判定は正確に機能すべきで、トークはその補助で良い。
口下手のプレイヤーだって能弁なネゴシエーターを演じて良いのである、それがTRPGというものだと思うのである。逆に何の役割を担当しても、トークだけで切り抜けようとするプレイヤーは、正直言って興ざめする。
いずれにせよ、PCサイドに提供されるべき情報は、取りこぼしが無いように、GMが適切なタイミングで提示できるようにコントロールされるべきだろう。〜を調べなかったから、〜について追求しなかったから、とセッション後に語るGMは、PCに対する誘導力が足りていない。シナリオ作成を経てセッションに臨むGMは、シナリオ進行上において圧倒的なイニシアチブを握っている。それをどのように行使して、PCを繰り、セッションを盛り上げるかはGMの技量に依る。せっかく作ったシナリオを活かすためにも、もう一手PCを動かす術を考えるのも悪くないのではなかろうか。
また、同時にプレイヤーもPCを上手く動かして、情報を集め、整理し、推理することが望ましい。
情報伝達というコミュニケーションの基礎で躓いていては、TRPGは上手く遊べない。だから、もう少し情報というものを上手く扱いたいものだ。