コンベンションやサークルなどの打ち上げの席で、よく話題に上るネタとして、熟練プレイヤー(GM、プレイヤーを含んだ広義での意)の条件、というものがある。
ひとぞれぞれの考え方によって、その条件は色々あると思うが、私は“バランス感覚に長けている”ということを、最大の条件として推している。


TRPGは、様々な要素を内包したゲームである。
ルールを駆使するゲームとしての要素。キャラクター性を演じて楽しむ演劇的な要素。GMや他プレイヤーとの会話を通じて物語を構築していく要素。などなど、例を上げれば枚挙のいとまがないだろう。
当然、それぞれのプレイヤーごとに、得意とする要素=志向する分野は様々だろう。
システムを熟知し、ルールを駆使して優秀なキャラクターを活躍させるのが好きなプレイヤー。キャラクターに背景設定を盛り込んで、感情移入して台詞回しや演出に凝るプレイヤー。とにかくシナリオに関与して、タスクやミッションを遂行するために奔走するプレイヤー。などなど。
どれもが、正しいTRPGの遊び方といえるだろう。そして、どれかいち分野でも長けたプレイヤーは、セッションを盛り上げる場合が多い。そういった長所を持ったプレイヤーは、いわゆる“熟練者”と称しても良いのではなかろうか。
だが、その得意分野で“行き過ぎた”プレイヤーは、長所が転じて短所となることも多い。
システムを使いこなしすぎて、ルール上の有利不利だけに価値を置くプレイヤー。自分の設定したキャラクター性のみに拘り、シナリオ上の状況やセッション環境に適応できないプレイヤー。思い込みからシナリオの方向性を読み誤って、シナリオ進行に関する意欲が空回りするプレイヤー。などなど。
それぞれの長所であるハズの得意分野が、セッションに噛み合っていないために起きる問題と言えるだろう。
そこで、“バランス感覚”が必要になってくると思うのである。
TRPGは複数のメンバーが集まってセッションを開く。当然ながら、複数のメンバーそれぞれに得意とする分野=志向する方向性も異なるだろう。
セッションを円滑に進めるには、それぞれのメンバーが追求する志向を調整する必要性がでてくる。その調整を行えるバランス感覚に長けていれば、様々なメンバー、システム、会場でのTRPGプレイに対応できるのではないか、と思うのである。
しかし、自分の志向するプレイスタイルをセーブしてまでして遊ぶTRPGプレイは楽しいのか、と言われれば、大半の答えは否だろう。
とするのなら、出来る限り同じような志向性のメンツを揃えて遊ぶのが、ストレスなくプレイを楽しむ上ではベストとなるのだろう。こうしてたぶん、“汎用的な”熟練プレイヤーの数は、減っていく……。