ワードナの逆襲』手塚一郎(JICC出版)
異色のゲーム、WIZARDRY#4 the Return of WERDNAのノベライズ。
当然のことながら、とうの昔に絶版になっており、ふと思いつきで中古だが取り寄せて手に入れた。
十数年ぶりに読み返してみたが、面白い。
物語は、魔道師ワードナの遺体が封じられた迷宮を巡回する冒険者たちの視点によって語られていく。当然、復活したワードナは魔除けの安置されている地上のカドルト神殿を目指す訳で、その過程において守護者である冒険者たちは、迷宮を徘徊するワードナに随所で遭遇する。
圧倒的な戦力をもって冒険者を蹂躙するワードナの迫り来る恐怖感が、ひしひしと感じられ、恐怖に狂う冒険者たちの描写が、非常に生々しい。
思えば、ファンタジーにおける聖職者の信望する神々に、決定的な猜疑心を植えつけたのが、本作品のカドルト神だったなぁ、と今更ながらに確認する。