『ヴィンランドサガ(1)(2)』幸村誠講談社コミックス)
だいぶ前に週刊マガジン本誌での連載初回に立ち読みして以来、個人的に注目していた作品。
その割には長らく忘れていたのだが、先日のセッション後の雑談で漫画の話題があがり、そこでふと思い出した。改めて手にとってみれば、やはり面白い。
冒頭のフランク族城砦に対する戦闘で、船を担いでの山越え戦術は秀逸。史実においても、ヴィーキングの船(ロングシップ)は喫水が浅く、浅瀬でも運行できる上に、陸上においては担いで運ばれ、文字通り神出鬼没の侵略者として恐れられた。
なお、10世紀頃のヴィーキングたちが、15世紀大航海時代コロンブス新大陸発見以前に、ヴィンランド=新大陸を発見していたことについて、今日では考古学的発見に裏付けられた史実とみなされている。
主人公トルフィンの少年時代にヴィンランドを語ったレイフは、ヴィーキングたちの伝説「グリンランドサガ」のレイフ・エリクソンを下敷きにしているのだろう。伝説におけるレイフは、ヴィンランドへの植民移住を指導した人物である。
父親を討たれ復讐の念に凝り固まったトルフィンが、いかに約束の地ヴィンランドを目指すようになるのか。今後の展開に期待大。