『働こうとしない人たち 拒絶性と自己愛性』矢崎洋(中公新書ラクレ
最近注目されることの多い、「引き篭もり」や「ニート」と呼ばれる心理的な問題がネックで「働こうとしない人」の心理背景をセオドア・ミロンのパーソナリティ障害論を下敷きに分析しようとした考察書。
この手の人間は大きく二タイプに分かれるという。やりたいことに“拘りすぎ”て仕事に就けない者と、やりたいことが“なさすぎ”て仕事に就けない者。
前者は余りに強い“自己愛”故に、思うままに周囲が自分を認め、受け容れてくれないと絶望し、自己を護るために引き篭もる。
後者は、自己の主体感を護るために選択や決断を“拒絶”して、サボタージュといった消極的な消極的な反抗をして引き篭もる。


なんか、どっかで見聞きしたようなタイプですよ?
実際、コンベンションなどのオープン・セッションにおいて、程度の強弱はあれ、この手のプレイヤーは意外といる。
周囲に望むことが多い割には、自らはさほど重要な行動を起こさず、とにかく自己主張だけの“自己愛”タイプ。
何か発言するでもなく、行動するわけでもない。ただし、パーティの方針が決定すると、それに反抗する“拒絶”タイプ。
そういう輩は、プチ“パーソナリティ障害”プレイヤーと言えるかもしれない。
TRPGは現実とは違い、実行力を備えたキャラクターを扱え、英雄的な行動が容易く行える(システムにもよるが)。それこそファンタジー(空想世界)なのだから。しかし、そのファンタジーは残念ながら個人のファンタジーではなく、GMや他のプレイヤーの同居する共有のファンタジーでもある。
確かに、自己主張は大切ではある。その意志力が物事を動かすのだから。ただ忘れてはならないのは、セッションに参加している他のメンバーと時間と場所と楽しみを共有しているということであろう。自戒も兼ねて。