『豊かさとは何か』暉峻淑子(岩波新書
奥付を見ると第一刷89年9月。15年前ということもあって、今とは微妙に状況は違うものの本書で提起した日本の享受している「豊かさ」の歪みに対する問題点は、ほぼ正鵠を射ていると思う。もっとも、過度な西ドイツ(当時)やフィンランドなどの北欧諸国の福祉政策礼賛はどうかと思うが。
いずれにせよ、日本が資本主義と自由主義を本来それを成立させた欧米諸国のソレとは、ずれた認識で輸入し、それを導入してしまったことが問題点であるという認識には同意する。
我々は権利と義務の相関を正しく理解していない。義務を果たさねば、権利は行使できない。政治に期待を掛けられない以上、自らをして改めるより他に方法はないのかもしれない。要は個々の認識と行動によって歪みを正すしかない。ということだ。