国立西洋美術館 ユベール・ロベール―時間の庭―
代休が取れたので、行ってきた。
18世紀のフランスを代表する新古典主義の風景画家ユベール・ロベールの企画展である。
当時、ポンペイヘルクラネウム古代ローマ遺跡発掘が行われたこともあり、古代遺跡に注目が集まっていた。ロベールはイタリア留学で得た古代遺跡のモチーフを元に豊かな想像力によって架空の古代遺跡や廃墟を配置した風景画を得意として“廃墟のロベール”と呼ばれるほどに人気を博した。
以前、常設展示で「マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観」を観たことがあり、ロベールの名前は記憶に有った。それで気になったこともあり、観に行ってきた。
平日で、かつ雨天ということもあり、会場はやや空いていた。
ヴァランス美術館所蔵のサンギーヌ(赤チョーク)による素描画も多数展示されており、なかなか見応えがあった。
TRPGゲーマーにとって、廃墟や古代遺跡のある風景は、空想の題材として非常に魅力的である。
かつて栄え、美しかったものの残滓。失われた過去の栄光への憧憬と郷愁。廃墟や古代遺跡には、独特の魅力がある。
併設して展示されていた同時代のイタリアの版画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージの『牢獄』展もなかなか面白い。
こちらも空想によって描かれた架空の牢獄を題材とした銅版画であり、第一版と加筆修正を加えられた第二版が並べて展示されていた。
ピラネージもまたローマ建築を研究し、古代遺跡や都市景観を描いた版画を制作したことで知られる画家だ。
重厚な石組みで築かれた地下構造物としての牢獄の描写は、これまたダンジョンを彷彿とさせ、イマジネーションを刺激する。
空想と遊ぶ、至福の時間だった。