佐野美術館 名物刀剣―宝物の日本刀―
展覧会初日に行ってきた。
前回、根津美術館で買った図録に収録されながら展示されていなかったのは、厳島神社所蔵の友成、豊国神社所蔵の骨喰藤四郎、愛宕神社所蔵の笹丸、上杉博物館所蔵の姫鶴一文字の四点である。
今回、佐野美術館での展覧会においてはこの四点が展示されるので期待をしていたのだが……。見事に展示期間がバラけている。
とはいえ、今日は友成と骨喰藤四郎が展示されているようなので、まずは行ってみることにした。(友成は10/26まで展示)
現地には二時前頃に着いたのだが、二時から館長による講演会が行われるようで、会場は思った以上に空いていた。
実に好都合である。さっそく、展示品の閲覧を始める。
友成は実に勇壮な姿で、腰反りの作りが平安時代の作であることを裏付けている。刃文は直刃でややおとなしい。
900年以上昔の鍛鉄製品がここまで美しい姿で現存している。これは実に奇跡に近いことだ。
平家の武将(宗盛か教経)が武運長久を願って厳島神社に奉納したものだが、残念ながら平家一門は壇ノ浦に散った。しかし、宝剣はいまだ残っている。
骨喰藤四郎は大友氏から足利将軍家に献上された薙刀直しの脇差である。太閤秀吉の刀狩りで召し取られ、大坂城に収納されたが、夏の陣での落城とともに行方不明になったものの堀から無傷で回収された。
残念ながら明暦の大火で焼け、越前康継によって再刃された。今日、目にするのはその再刃された刃である。
前回の展示にて観た義元左文字や鯰尾藤四郎も康継によって再刃されたものなのだが、康継もまた名工である。焼失した獅子貞宗の再刃を手掛け、また写しを作刀している。
他にも日光助真や桑名江、切刃貞宗などの名物を目の当たりにできたことは大きな収穫だった。
11/18〜12/18まで二つ銘則宗と姫鶴一文字が展示されるようなので、たぶんもう一度来ることになるだろう。