ACECOMBAT ASSAULT HORIZON』
キャンペーンをクリアした。
本作は制作チームが公言しているように、これは“従来のエースコンバット”では無い。賛否両論はあるだろう。
本作を楽しめるかは、新しく導入されたDFM(ドッグファイトモード)を受け入れられるか否か。これに尽きる気がする。
敵機の後ろを取りDFMに突入すると、敵機が拡大表示され機関砲やミサイルが当たりやすくなる。ので、DFMで敵機を撃墜するのが基本となる。
差別化のためか、普通にミサイルを放ってもあまり当たらない。だけに従来のように遠距離からのミサイル攻撃で敵機を撃ち落すと実に快感である(あれ?)。
また敵からDFMを仕掛けられ、カウンターマニューバで攻守逆転するのが、慣れてくると実に楽しく、病み付きになってくる。
地上攻撃においても、ASM(エアストライクモード)という連続爆撃の補助システムが導入されている。個人的には対地攻撃は苦手だったので、非常に助かった。
本作で初めて戦略爆撃機が使えるようになっているのだが、このASMによって広範囲を一挙に爆撃する。1ミッションだけだったが、結構楽しかった。
レーダー網を掻い潜った先で絨毯爆撃を敢行し、上がってきた要撃機の追撃を逃れ、駆け付けた味方護衛機に助けられるという展開も良かった。
と、ここまでが良かったこと。
悪い点として、まずストーリー描写が雑すぎる。
初めて明確な主人公としてビショップ中佐というキャラクターを設定したが、いかんせんキャラクター描写が薄すぎたのではなかろうか。
というか、劇中での彼を取り巻く状況があまりにも説明不足なのに、ストーリーだけが独り歩きして、唐突感が否めない。
一応、ムービーを観ていればストーリーの中身は分かるが、ビショップ中佐の人物像がさっぱり掴めない。なんで死ぬ夢を繰り返し見ているのだろう?
というか、敵側のスタグレイショフ将軍が寝返った理由も解らんし、かつての同僚イリッチ少佐に至っては、いつの間にか寝返っていつのまにか死んでる。
あとライバル“アクーラ”ことマルコフが、アメリカを憎む理由は解るが、ビショップ中佐にこだわる理由も解らん。せめて、敵側エースとして腕を認めるようなシーンでもあれば良かったのに……。
さらに、相棒ガッツが撃墜された後、彼の状況が全く分からんままにミッションが続くのもどうだろうか。ガッツが生死不明となりあれだけ動揺しているにもかかわらず、それを放置したままマイアミからワシントンに戦場が移るのは違和感ありすぎる。
せめて「ガッツの救出は?」「まだビーコンは確認されていません」とか、ミッション終了間際の無線なり幕間のムービーなりで伏線張っておけば、エンディング後の救出シーンが映えたのに。
そして最終戦のワシントン上空で“アクーラ”を撃墜して、トリニティの爆発の余波でガタがきた愛機をなんとか緊急着陸させて、駆け寄ったリール少佐と抱き合って、周りを囲んだクルーたちにガッツポーズを決めて、死の恐怖に打ち勝った、って……。
実にいまいちだ。これくらいのシナリオなら、今までの名無しの主人公であっても十分な気がする。
つーか、「5」のナガセの方が、よほど相棒としてもヒロインとして頑張ってたぞ。主人公でいうなら「04」の“メビウス1”の方がよほど存在感があった。
ゲームとしては面白かったが、次世代“エースコンバット”としては実に微妙なゲームだったように思える。何か大切な方向性を見失っている気がするのだ。
だが、音楽だけはシリーズの伝統を正統に継承していたように思える。メインテーマのメロディラインが随所にちりばめられており、一貫してこれが“エースコンバット”であることを訴えていた。はやく全曲収録のサントラを出して欲しいところだ。