刀剣博物館 古刀新刀名作展―多彩なる色金の世界―
HPのアクセス案内では京王線初台駅下車徒歩5分、とあったがかなり迷った。
上空では雲行きが怪しくなる中、物静かな住宅地を汗だくになりながらさ迷い歩き、ようやく建物を発見した。
さすがに平日、かつ展示物の特異性からか、先客は外国人観光客らしい白人の青年がひとりだけだった。その彼も10分程度で居なくなった。
ここは財団法人日本美術刀剣保存協会の運営する日本刀を展示している博物館である。
先日ひょんなことから企画展示の「古刀新刀名作展」の展示品目録を見つけ、近々に足を運ぼうと思い立っていた。そして今日訪れた次第である。
“名作展”の名は伊達ではない。すさまじいラインナップが揃っていた。
ざっと挙げると、伯耆安綱、備前友成、粟田口国綱、藤四郎吉光五郎入道正宗、来国光、備前長船兼光、備前長船長義、青江恒次などなど。名物はさすがに無いもののそれを鍛えた刀匠の作がずらりと並んでいる様は実に圧巻である。
古刀ばかりではない。越前康継、長曽祢興里虎徹入道、興正の作もある。特に興里の作は前期と後期それぞれ一口に脇差一口まである豪奢さ。
虎徹を見たら偽物と思え、というのが刀剣商の常識だが、その真作が3本も並べばある意味怪談である。
そのお化けに“三ツ胴裁断”と金象嵌が切ってあれば、真夏の怪談ばりに背筋が寒くなる。凄まじいものを見てしまった。
冷気を感じたのも一瞬。表に出れば、やはり暑かった。