国立西洋美術館ルーヴル美術館
特にこれといった目的があるわけではないのだが、良い機会なので観に行ってきた。
展示物はルネサンス期以降の近代絵画が中心である。いずれも著名な作品ばかりだ。まだ、開催されて間もないこともあってか、やや込んでいた。
目玉であるフェルメールの「レースを編む女」は、思ったよりかなり小さい。
ベラスケスの「王女マルガリータの肖像」は、スペイン王マルガリータの幼い姿を描いたもの。
これを眺めながら、長じたマルガリータ王女は、オーストリア大公レオポルドI世に嫁ぐが、産褥によって22歳の若さで亡くなったことをふと思い出す。
絵の中の王女は、400年経ってもなお、あどけない顔で佇んでいる。
絵を眺め、思索にふけりながら順路を進むうちに、カルロ・ドルチの「受胎告知」に出あう。
この「受胎告知」は「天使」と「聖母」の一対からなる絵なのだが、とりわけこの「天使」に魅了された。
美しい。魂を抜かれるかと思った。
もともと“受胎告知”を取り上げた絵画において、天使は女性的な表現されることが多いが、この絵においてはまちがいなく女性として描かれている。
カルロ・ドルチといえば、「悲しみの聖母」が有名だが、俺にとっては「天使」の方が、心臓をもってかれるほどの衝撃を与えてくれた。
企画展示もひととおり眺めたので、常設展示も観ていくことにする。打って変わって、こちらは空いている。
2階に上がってまず目に付くのが、モンターニャの「城の見える風景」である。
中央奥の岩山には城砦がそびえ、手前には中世の街並みと水辺の風景が広がっている。ややくすんだ彩色が、中世という時代を感じさせる。
眺めながら、しばらく中世の旅路に思いを馳せる。
ぷらりと足を運んだわりには、それなりに実りある一日だった。