WIZARDRY RPG OutLaws Edition」用キャンペーンシナリオのプロットその二。

□#2.氷霧の結界 (the Front of Snowfield)

■コンセプト
北欧をイメージした王国群北端の城塞都市が舞台。
王国群の教会が指揮する騎士修道会と地場の武神教団の対立と共闘。探索の使命と蹂躙される国土の防衛のいずれを優先するか。などなど、限られた時間の中で、何を為すのか、度々選択を迫られる。

■背景設定
北海に面した王国群最果ての地、クールヘンレント王国。ここは《氷霧の結界》の向こうから侵略してくる“古きのもの”どもを水際で喰い止める王国群防衛の最前線たる王国である。
この地においては、王国群では異端と断罪される武神の信徒とすら盟約を結び、外なる侵略者を討ち滅ぼしてきた。事実、勇猛果敢な武神の信徒の援け無くしては、国土の防衛すら叶わなかったであろう。それでも戦況は日々逼迫し、多くの歴戦の勇士たちが魔物の爪牙の下に命を落としていった。
そんなある戦の折、前線に赴いたある部隊が吹雪に遭って帰路を見失い、《氷霧の結界》の向こうに迷い込んだ。数日の彷徨の果て奇跡的に生還した彼らは、凍てつく深い霧の向こうに聳える巨大な城の姿を見たという。
この報は直ちに王の下に知らされた。城に詰める古老たちの口伝に拠れば、《氷霧の結界》の先にあるその城は、《冥王の城》だと云う。期せずして、結界を侵す“古きもの”どもを統べる“冥王”の所在が判明したのである。
“冥王”さえ屠れば、あるいは《氷霧の結界》は失われ、この北端の王国にも平穏なる春が訪れるかもしれない。
一筋の光明を見出した勇士たちは、我こそはと名乗りを挙げ、《冥王の城》への遠征を申し出た。
幾つかの部隊が編成され城へと向かったが、誰一人として還ってこなかった。その中には、“極光の姉妹”とも謳われた武神の巫女頭さえも含まれていた……。
多くの勇士を失った王は慎重にならざるを得なかった。王国の守備を疎かにするわけにはいかない。だが、このままではいずれ王国は結界に侵食されてしまう。
一計を案じた王は、領内外を問わずに広く布令を出すこととした。
―王国の末を案じる勇士に告ぐ。《氷霧の結界》の果てにある《冥王の城》へと赴き、“冥王”を討ち取りし者には、万金の褒賞を与えん、と。
正規の兵士を探索に廻すことは出来ない。ならば、冒険者をそれに当てれば良い。
王の目論んだとおり、数多くの冒険者が布令に応じて王都へと集った。ある者は救国の志を抱いて。またある者は一攫千金を夢見て。またある者は熾烈な戦いを求めて――
こうして、王国の命運を賭けた探索の旅が始まる……。

■勝利条件
《冥王の城》の深奥に居る“冥王”を討伐し、《氷霧の結界》を解除する。

■付記
先に《冥王の城》に挑んだ“極光の姉妹”たち先遣隊は幾つかの《武神の武具》を持ち込んでいる。もし彼女らが生き残っていれば、必ずや力になってくれるだろう。もし志半ばで倒れていたとしても、その武具を使うことは許されるだろう。