『黄金伝説(1)(2)』ヤコブス・デ・ウォラギネ著/前田敬作・今村孝訳(平凡社ライブラリー
遂に出た。しかし、まさか文庫で再刊されるとは思わなかった。感無量である。
本書は、13世紀の修道士ウォラギネの手によって編纂された聖人伝説の集大成である。
キリスト教系の伝説を追えば必ず本書の名前が出てくるほど、その内容は多岐に及びそして詳細を極める。まさに聖人伝説を調べるものには必携の書といえるだろう。
さすがに13世紀当時の記録を元に編纂されているために、今日では伝説色が強いために聖列から外されてしまった聖人もいるが、そういった胡散臭い聖人(聖ロンギヌスとか聖クリストポルス、聖ミカエルなどなど)も含めて、中世キリスト教信仰の対象を知るのもまた、面白い。
もともとハードカバーで刊行されてはいたが、既に絶版で、所蔵している図書館も限られていたので、学生時代、この本を探すのに手間をかけたのが記憶に残っている。
いい時代になったものである。