『ヨーロッパホラー&ファンタジー・ガイド―魔女と妖精の旅』荒俣宏講談社プラスアルファ文庫)
モダンホラーより、ゴシックホラーが好きである。
時代や場所、過去の因縁などの背景設定が凝っていれば、なお良い。古い歴史と伝統の澱が積もったヨーロッパは、最高の舞台となりえる。
そんなヨーロッパ各地に遺された、怪奇の欠けらの残る地を巡り、紹介したのが本書である。
ファンタジーとも銘打ってはいるが、どちらかと言えば、ホラーの源泉探索に偏っている。
しかしさすが博学の士、荒俣宏だけに、有名無名取り混ぜて、よくもまあここまで調べたなと思うほど、奇抜で奇怪な場所を選り集めている。
どこもかしこも魅力的で、ついつい旅に出かけたくなる衝動に駆られそうになる。
いつか、暇に任せてこういった怪奇の痕跡を辿る旅に行きたいものだ。