『エマ(7)』森薫(Beam comix)
ついに完結。良い終わり方をしたものだ。
前巻ラストにて人買いによって拉致され新大陸行きの汽船に放り込まれて行方不明となったエマだが、そこは商会の御曹司ウィリアム、各地に手配を回してエマの行方の特定に成功。ついに再会する。
恋人の安否に関わる問題だけに、いやに手際がいいし行動も速い。覚悟が定まっただけに、本巻のウィリアムは妙に格好良い。
安易な新天地への逃避ではなく、困難を承知の上で旧世界での闘争を決意した二人には好感をもてる。
現実の壁は厚く堅牢で高いが、二人は手を携えて懸命にそれを越えて前に進むだろう。それを暗示させる最後のシーンは、非常に気に入った。
それでも、本巻の最大のツボは、冒頭の台詞ではあるのだが。まさしく真の友人は、得がたい。
エマもウィリアムも、ひとの縁に恵まれた。おそらくは先生も泉下で、慶んでいることだろう。