男たちの大和/YAMATO』(東映
映画を観に行く。今回も邦画である。
本作は、レイテ沖海戦における事実上の連合艦隊壊滅以後、有名無実となった連合艦隊旗艦、大和が投入された沖縄特攻作戦「菊水作戦」を下敷きに、かつて少年兵であった老漁師の回想という形で語られる。
公開からだいぶ経ったので空いているかと思いきや、年配の方々を中心に結構入っていた。
さすがに、太平洋戦史の推移はだいたい頭に入っているので、展開が嫌でも読めてしまう。いずれ戦死することが分かっている兵士たちの友情や、家族との別れが、胸に堪える。
最期の対空戦シーンは、さすがに圧巻。
史実では、この際に投入されたアメリカ海軍艦載機は実に386機で、計2回に及ぶ波状攻撃が行われた。これに対抗するのは、約150門にも及ぶ対空機銃座。主人公の少年兵も、そのひとつで死力を尽くす。
しかし近代戦において、航空支援無しでの海戦は一方的な打撃戦となる。無論、史実どおりに大和は沈む。
昭和20年4月7日1423時。北緯30度22分、東経128度4分。大和沈没。乗組員2,498名、戦死。
生き残ってしまった主人公は、戦友である少年兵の実家を訪ねる。わが子を亡くした母親は、生き残った主人公をなじる。史実でも、復員した兵士たちは、こうしたいわれの無い中傷に苛まれたと聞いたことがある。傷ついたものが、傷ついたものを傷つける。戦争は、無残だ。
劇中に劇場のあちらこちらで、むせび泣く声が聞こえた。戦後は、まだまだ終わっちゃいない、そう思えた。