『小説エマ(1)』久美沙織ファミ通文庫
ちょうど原作のマンガ版の1巻と同じエピソードを収録。
マンガでは表現が難しい登場人物たちの心情表現が非常に丁寧に書き込まれている。おかげであのエピソードのあのシーンで、彼や彼女がこういうことを考えていたのか、と思わず原作を読み直しながら読んでしまう。
小説だけに詰め込める情報量もマンガの比ではなく、一般にはなじみの薄いヴィクトリア朝のロンドンの雰囲気に読者がなじめるように様々な趣向を凝らしている。
原作者の森薫氏もそうだが、本編の作者久美氏も相当に勉強しているのが良く分かる。こういった舞台となる時代の雰囲気を感じさせる作品は、とても好きである。