鬼哭街 鬼眼麗人』虚淵玄角川スニーカー文庫
Windows対応ヴィジュアルノベルのノベライズの下巻。
原作自体もストーリー分岐の無いヴィジュアルノベルなので、ほぼそのまま小説化されている。絵とエフェクト、BGMと18禁的な濡れ場が除かれただけである。
亡き妹の尊厳を取り戻すためにすべてを投げ打ってかつて所属した幇に単身で挑む剣客、孔濤羅の闘いの軌跡。サイバウェアで身を鎧った外家武芸者たちに対抗する術は、内家拳法の秘技、電磁発勁紫電掌”のみ。サイバー武侠アクション全開である。
しかし、読後に物足りなさを感じた。その理由はあとがきを読んで気付く。作者である虚淵玄氏自らが語るように、エンディングと同時に流れる主題歌「涙尽鈴音響」が無い。
原作をプレイしている自分は、脳内補完できるが、初めてこの作品に触れる読者は決してそれを知ることは無い。
市場に放たれた作品は、製作サイドの意図とは無関係に消費者サイドの要望に応じて姿を変えていく。市場原理、資本主義としては、当たり前の流れではある。
商業化のジレンマ。この世界で、好きなこと、思うことを貫くことは難しい。