『ネオクーロンA』鷹見一幸角川スニーカー文庫
この作家、人間の善悪の分かりやすい書き分け方は超一級品だと思う。
危機に当たり全力を尽くす主人公と、それを取り巻く周囲の一般人の無理解、無関心、無責任、そして熱意に対する敵意を非常にデフォルメして分かりやすく描いている。
しかし、読み手も主人公に同調して義憤に駆られたりするが、意外と自分自身もその“無理解、無関心、無責任な一般人”と成り得ることを忘れてはならないと思う。
日常に小説のような危機は転がっていない。でも、できることをやらずに見過ごしていることも多いのも事実。
自戒も兼ねて、振り返ることは必要だ。