『日本の歴史8 蒙古襲来』黒田俊雄(中公文庫)
世の移り変わりとともに生活様式は変わり、それに伴って政体も変化を求められる。
鎌倉幕府も中期以降、執権北条氏の主導体制から、得宗独裁の体制へと移行する。一方、普及しつつある貨幣によって初期的な流通経済が始まり、農民が力を付け始めていく。やがて、荘園支配を持続できない地頭、つまり武士が出始める。幕府体制のほころびの始まりである。
そして、時折しも中央アジアを席巻し、ついに南宋に止めを刺したモンゴル帝国、元が海を越えた遠征を企む。世に言う、二度の元寇である。
戦には勝ち、元の侵攻を防ぐことには成功したが、もはや体制を立て直す底力を幕府は維持できなかった。
加速的に指導力を失っていく得宗。対して、異形の天皇、後醍醐帝は「御謀叛」を企む。
ついに時代は「悪党の時代」。すなわち「太平記」の時代へと移行する。