1. 『こちら救命センター 病棟こぼれ話』浜辺祐一(集英社文庫
  2. 『救命センターからの手紙 ドクター・ファイルから』浜辺祐一(集英社文庫

救命センターという最先端の医療最前線に在籍する外科医の手記。
作中では、筆者を投影していると思われる名も無き医師がぼやく「俺たちが造っちゃうんだぜ、植物人間を」という台詞に代表されるように、あまりにも発達しすぎた医療技術の弊害、それに追いつかない倫理、法律の不備など、医療にかかわる現実とのギャップが浮き彫りにされている。
さまざまな葛藤を抱えつつ、医師たちは目の前で死に瀕しようとする命を救うために、全力を尽くす。
我々の安全、快適な日常の裏では、こうしたインフラにかかわる無数の名も無き人々のたゆまぬ努力があることを忘れてはならないと思う。