『ドキュメント弁護士 方と現実のはざまで』読売新聞社会部(中公新書
ようやく見つけた。法曹三部作の初作。もっとも読むのは一番最後になってしまったが。
弁護士とは、法曹三者のなかで、おそらくもっとも一般市民に近い存在だろう。
個人主義が台頭し、地域や会社、家族といったコミュニティ連帯が緩やかに崩壊し、企業、病院など公の責任感が喪われていく今日、利害や感情の衝突を法をもって分かつことが増えているからである。
弁護士は、法に関わるすべての仕事を独占できる特権を保有している。
だが、社会の仕組みが根底から組み変わっていく過渡期の現在、その特権に胡坐をかいている弁護士はやがて淘汰されてゆくだろう。
良くも悪くも、資格職ですら競争の時代になったのだから。
そして、我々もまた良い弁護士を選定する鑑定眼が要求されることとなる。
売り手と買い手が、それぞれ正しく価値を付け合う。それが市場経済のあるべき姿なのだろうから。