ベルガリアード物語(3) 竜神の高僧』デイヴィッド・エディングス(ハヤカワ文庫FT)
ガリオンの旅はまだまだ続く。
マラゴーからアルダー谷に向かう途中で、一行の連れた馬の中の身重な雌馬が産気づく。難産の末に産まれた子馬は、残念ながら死産であった。
運命に従い始めたガリオンは、目覚めつつある魔術を行使して、子馬を蘇生させる。
その後、遥かな祖父に当たる魔術師ベルガラスから、魔術について、とても重要な教えを受ける。
この世界における魔術は、言葉によって実現される意志である。その力に道徳観念、つまり善も悪も無い。誰かの死を願えば、その者に死を与えることも可能である。
そこで、冒頭の台詞が来る。
世界に存在するモノの消去を行えば、その反動は術者にそのまま跳ね返る。存在の抹消によって、世界の均衡を崩すことを世界は許さない。
かなり、共感できる世界観である。
この作者、登場人物に命を吹き込むことも上手いが、架空世界の叙述もまた非常に上手い。