蝉しぐれ
代休が取れたので、久々に邦画を観に行く。
藤沢作品お馴染みの東北の某藩、海坂藩を舞台とした武家の少年の成長と、叶えられなかった初恋を描いた物語。原作には、かなり惚れ込んでいたので、いずれ観ようとは思っていた。
四季それぞれの情景描写が、映像作品ならではの表現であり、とても美しい。
キャスティングも概ねイメージどおりで、すんなりと入れたが……。それにしても、真友のひとりである学士、与之助の扱いが、ちとひどくね?
さすがに幾つものエピソードを落としてはいるが、全体的によく雰囲気を壊さずに再構成できている。
特に終盤の檜御殿の一戦は、小説のそれより割りとリアルに仕上がっていたと思う。下緒で襷掛けし、耳を削がれないように耳を挟んだ鉢巻をする。さらに血糊脂で斬れなくなった、あるいは圧し折れた際の予備として多数の刀を準備しておく。室内での乱戦を想定した良い支度である。
まぁ、切り札である秘剣村雨、闇夜一寸が大道芸っぽいのは、画面映えさせるためには、仕方が無かったのかもしれない。
全般的に良作。劇場に足を運んだ甲斐は、あった。