攻殻機動隊 眠り男の棺』藤咲淳一(徳間デュアル文庫
知るのが怖い。でも知りたい。
近しい人の心の奥底にある感情を、たやすく知ることができたらどうだろうか?
それを操ることができたら、どうだろう?
いずれ脳生理学の発達は、そうした感情の機微を分析しパラメータで表現することに成功できるかもしれない。そして各種感情を司る脳内物質を分泌しコントロールできるナノマシンも開発されるかもしれない。自分の思うままに印象や感情を操り、意のままの対人関係を構築できる世界。
想像するだに恐ろしい世界だ。
やはり、他人の心は知らぬが仏。他人の領域まで踏み込むことなく、間合いを量りながら思うところを表現する。その駆け引きこそが、対話、人間関係維持の妙か。