ローマ人の物語14 パクス・ロマーナ(上)』塩野七海(新潮文庫
待ちに待った続刊が刊行。カエサルの後継、オクタヴィアヌスがいよいよ“アウグストゥス”となる青年後期〜壮年期にかけての時期、ローマの最高権力者として帝政への布石を打ってゆく時期である。アクティウムの海戦において、政敵アントニウスを撃ち、プトレマイオス朝に引導を渡し、ローマに凱旋した彼はいまだ34歳であった。
義父である天才カエサルとは違ったアプローチで、かつ彼らしい用意周到さと慎重さによって、着実に共和制から帝政への移行を実行してゆく。
その遂行した仕事について、挿話に富んだカエサルとはまた異なった男の魅力がある。