『なぜ「少年」は犯罪に走ったのか』碓井真史(ワニのNEW新書)
少年による凶悪犯罪が多発した2000年に出版された(初版2000年11月5日)本書では、同年に発生した4件の凶悪少年犯罪を題材に、まさしく凶悪な少年犯罪はなぜ起きたのかを分析している。
今年起きた長崎の12歳少女による同級生殺人の際にも、少年法改正が提起されたが、法改正うんぬんの以前に、なにが問題で事件は発生したのか、といった根源的な追及、解明はされているのだろうか?
異常殺人犯罪者を対象としたプロファイリングの草分けロバート・レスラーの『FBI心理捜査官』においても言及されているが、異常殺人を犯した犯人を育成したのはその生育過程における劣悪な環境によるところが大きいという説が、本書においても取られている。たぶんそれは正しい。
先週に読んだ『人格障害の時代』でも、「おかしいのは子供だけか?」との問題提起がなされていた。とかくセンセーショナルなマスコミの報道によって、クローズアップされがちな少年犯罪ではあるが、昨今の風潮を見るに、大人の方がかなりイカれた行動を取っていないだろうか?
現状のオタク文化隆盛もそのひとこまである。あきらかに今の大人たちは自分の欲望をコントロールできていない。それを常に傍らで見ている子供たちに、何をもって正しく生きろと説けるのか?
まさしく「身から出た錆」を削ぎ落とす時期にあるのかもしれない。