『小説マルコ・ポーロ 中国冒険譚』陳瞬臣(文春文庫)
東方見聞録の作者、冒険家マルコ・ポーロは実は元朝密偵だった。そんな空想を元に書かれた小説。
虚実入り乱れた東方見聞録は一種のファンタジーだが、それをリアリズムで鎧うとこういう小説ができる、といった感じか。
南宋末元初は好きな時代なので非常に楽しめた。特に最終章の結びの一文が秀逸。

「七十一歳。……皇帝も老いた。この国に長居しすぎたようだなぁ。……」